キノコピノココノコドコノコ

誰の脳味噌?

キノコてうのは実に奇妙で不思議な存在で、身近な割にその実体は謎が多い。
仏蘭西で森番をしてゐた時、冬用の薪を集める傍ら大量のキノコを毎日採集してゐた。さすがにそのほとんどが見たことのない形状のものであったので、とりあえず隣のヴァレーおじさんにみてもらうことにしたのだが、見事に全てが毒キノコだった。同じやうな森に入ってゐても、さすがにヴァレーおじさんは食用キノコを収穫しては、時々分けてくださったのだけれど、その在処はヒミツてうことだった。日本で云へば松茸のやうな存在だったのだらうか、そのキノコはマイタケを湿らせたやうな感じで、バターでソテーしてもベシャメルソースに絡めても、グラタンに入れてもピザに乗せて焼いても美味しいのだった。今となってはそのキノコの名前は忘れてしまったが、おそらくトリュフ同様、仏蘭西でも高級食材だったのではないかと思ふ。
そんなことを改めて思ひ出したワケは、先日まで通ってゐた現場の草原に出現した奇怪なキノコを見たからだ。それは決してブナピーのやうな友好的な種類ではなく、見るだにグロテスクで邪悪な風貌をしたものであった。正体はホコリタケであると思はれるが、今まで見たこともないほど巨大であったこともあり(長径20cm以上!)、ちょっと警戒してみたワケだ。まさかこれが現場でのみ発症する鼻びしびしの原因ではなかろうが、草むら斜面のいたるところに転がってゐる光景はまさに不思議の国。その様子を見た友達が思はず「脳味噌のやうだ!」と叫んでゐたが、正にその通りで、「マタンゴ」か「ゴケミドロ」のワンシーンを連想させるものがあった。
学生の頃、信州のペンションで調理されたホコリタケを食べたことがあったが、あれは大きめのマッシュルームくらいの大きさだったし、味もマグソタケに似ていて美味だったな。でもこれほど巨大化したものは食べてみる気がしないが、何が原因で巨大化したのかが気になるところだ。基本的に立ち入りを禁じられ草ばうばうで放置されてゐた斜面だし、農耕も行われていない場所なので農薬などの影響は無ささふだし、放射能の影響や未確認飛行物体の目撃も報告されていない。原因追及の為には、食べてみるしかないかも・・・
「キノコのお山」ぢゃーダメかしら・・・(-_-)