2009-07-25から1日間の記事一覧

少年時(中年詩)

黝い石に夏の日が照りつけ、 庭の地面が、朱色に睡つてゐた。 地平の果に蒸気が立つて、 世の亡ぶ、兆のやうだつた。 麦田には風が低く打ち、 おぼろで、灰色だつた。 翔びゆく雲の落とす影のやうに、 田の面を過ぎる、昔の巨人の姿―― 夏の日の午過ぎ時刻 誰…