朝食はおこしもん

舊暦如月七日の大火鉢

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
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昨夜は日本映畫『エヴェレスト 神々の山嶺』を鑑賞。
極めて骨太な作品だった。
原作者が夢枕獏とは知らなかったし、原作も讀んだことは無いが、重要な主題であるエヴェレスト(サガルマータ、チョモランマ)は實は舞台装置にすぎず、内容は男性原理で貫かれた骨太で内省的な精神論だ。
生き方の問題。人生の軸足を何処に置くべきかてう問題。自己をとことん追ひ詰め、執拗に追ひ込んで行く物語り。いや、そのやうにしか生きることの出来ない不器用な人たちの物語り。
良い悪いは埒外のことで、その無謀とも言へる行為に因って愛する人をも傷つけて仕舞ふ性。待ち給へ、他人がおいそれとそのことを直ちに「哀しい性」とは判断できないのだよ。
さて、此の極めて日本的とも言へる精神論的な展開が、果たしてどれほど海外で評価されるのかは不明だが、自分の中の日本人らしさを測るバロメーター(氣壓計)とするには恰好の作品だ。早々とウンザリするのも良し、繰り返される啓示を我が物として感動と感慨を得るのも良し。一見の価値ある作品と言って良いだらう。いずれの場合もだが、特に後者の場合、やや亂暴に己の立ち位置と生き様を問ひ質されて仕舞ふので要注意。
それにしても實際にベースキャンプ(5,150m)や魔のアイスフォール近くまで出掛けて撮影を敢行した根性は認めるが、宙吊りシーンの背景や肝心な場面のいくつかが瞬時にCGとわかてしまい、興醒めして仕舞ふこともしばしばあった。ホント、日本映畫のCG品質はなんとかならんもんだろーかや。きっと偏執狂的に細部にこだわってはゐるのだらうが、引いて見た時の違和感を相殺するには、例へばアメリカンな大雑把さとでも言はふか、兎に角大なる視点で俯瞰することに関しては、日本人は未だに不得意のままのやうだ。
とまれ、いつものどこか飄飄とした阿部ちゃんじゃなくて、「野人阿部」の演技がなかなか。岡田君もかなり入り込んで、一途だがどこか虚ろな表情がいい。尾野嬢は真摯だけどひょっとするとこの作品にとってはミスキャストだったかも。あと、ホンモノのシェルパ族、『キャラバン』に出てゐたテインレイ・ロンドゥップ爺さんが出てきたのでびっくりポン。(^ω^)
 
エヴェレスト 神々の山嶺 | アスミック・エース
 
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【おまけ】

「中國の夢」(力を合はせて民族復興の夢を實現しやう)と題する新聞全面広告の冩眞が日本の新幹線だったと言ふオチ(^_^;)