春ゆかば

舊暦正月二十一日の舊懐律
 
 

 

 
今は昔、中学生の頃に毎晩聴いていたラジオ番組のCM、それはオリベッティタイプライターのCMなのだけど、そこで使われてゐた音樂の題名が昨夜判明した。
それはチェンバロの曲で、曲風から察すればバッハの曲のやうでもあるし、さうでもない氣もする。折りに付けバッハのチェンバロソナタだの、それらしきバロックの曲に聞き耳を立ててみてはゐたのだが、今に至るまで正式な曲名は知らぬままであったのだ。
で、結局この曲は一應BWV番號が付されてはゐるものの、どうやら大バッハの作品では無く息子カール・フィリップエマニュエル・バッハの作品である可能性が高いてうことになってゐるらしい。
また、原曲はチェンバロソナタてうわけではなく、単なる「ソナタ ト短調」の前奏部分であり、ソロパートも有るのだが、研究者のブログに因れば「音域などから考えて、フラウト・トラヴェルソバロックオーボエのための作品だと考えられますが、旧バッハ全集ではヴァイオリンソナタに分類されていました。」とのこと。*1
 

 
それにしてもふとしたきっかけで、或る特定の音樂をコトバの検索機能だけでどこまで追求出来るのか試してゐるうちに、實に40年来の謎が解けたワケだが、こればかりはインターネットの恩恵と言っても良いだらう。曲の正體が判明してから、よもやと思って更なる検索を進めてみた結果、一人二人とオリベッティタイプライターのラジオCM絡みで言及されてゐる方も居り、一人でびっくりポンな土曜の深夜を過ごしてゐたのだった。*2
勿論、インターネットが存在しなくともラジオCMの話題から辿り着く方法もあっただらうが、其の場合は迅速な解決には至らなかったはず。情報の共有という点に於いては、インターネットの電絡網は確實に、地表面に新たな神經経絡を形成してゐるのだとつくづく思ふ。
 

 

 
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【おまけ】

哲学的で理数系のエレベーターだ(-_-;)

*1:CMでは序奏の第5小節くらいまでが聞こえてゐたと思ふ。独奏樂器がリコーダーにせよヴァイオリンにせよ、第12小節の終わりまではチェンバロのソロだから、鍵盤樂器のソナタだらうとい勘違ひしてゐたことも許されやう。

*2:當然の如くほぼ同年代の方であった。