御屋形様虎皮下

舊暦九月十日のサラマンカホール

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
やはり鈴木優人は鈴木雅明氏のご子息であったやうで、いやはや、先日の名古屋に於けるバッハ・コレギウム・ジャパンの演奏會では、世の中には同じやうな分野で何となく顔も雰囲氣も似てゐるし、しかも苗字まで同じとは、奇なることがあるものだと一人で感心してゐたのが恥ずかしい。(-_-;)
さても、やはり其の人の人となりと言ふか振る舞ひと言ふか、所謂上品でありながら嫌味の無いノリの良さは若さ故のことなのか、今回の「チェンバロ&オルガンコンサート」は打ち解けた雰囲氣の中でしばし息を飲む演奏を堪能することが出来、余は大變満足したのである。
御本人も空前のことと言ふワンコイン500円コンサートだったが、サラマンカホールの特性を良く生かし、大上段のオルガンと舞臺のチェンバロを往復しつつも、柔らかな喋りとしなやかな振る舞ひで場の雰囲氣を繋ぐ器量の良さ。曲目も硬軟織り交ぜて、我輩にとっては未知なる領域も開拓され、何とも贅沢なひとときでした。
御本人様も頻りに言っておられたのだが、今回はイロイロのあれこれが特別仕様で、これらはひとえに、丁度一ヶ月後に開催されるバッハ・コレギウム・ジャパンによるモーツアルトプログラムの前振りてう意味付けのやうだが、期待しないワケにはいくまい。勿論、モーツアルトソナタトルコ行進曲付き)がチェンバロで演奏されたなんてことは秘密にしておかねばなるまいぞ。
個人的には冒頭に演奏されたオルガン曲、作者不詳のエスタンピが興味深かった。13世紀あたりの、未だ音形も展開も糢糊混沌とした時代の勢ひが良く表され、時に不快な五度の旋律が次のフレーズでは六度を伴った不協和音で鳴り響き、かなり意表を突かれる。そらの旋律が前方に配管されたトランペットのフォルテで前面に押し出されつつも、伴奏?のやうな對旋律のやうな、はたまたオブリガードのやうな絡み具合がとてもマニアックで、le Moyen-Ageファンとしてはなかなかたまらないものがありましたとさ。
それにしてもサラマンカホールの諸プログラム、地方の中ホールとしてはなかなかアグレッシブで宜しう御座ゐますね。岐阜の誇りと言はねばなりますまい。(^ω^)
 
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サラマンカホール
 

 

 

 
 
 

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