GOD・ZILLA的

舊暦七月二日の朝は爽快なる天候

 

 

 

 

 

 

 

 
看電影:『GODZILLA ゴジラ
映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』公式サイト
http://www.nihon-eiga.com/osusume/godzilla/
http://godzilla.jp/
いろいろな意味で凄かった。
聖林公司(ハリウッド)お得意の、と言ふかいつものパターンである家族愛だの人類愛だの獻身だの愛國心だの、如何にも陳腐だが人類普遍の主題をしっかりと踏襲しつつも、出現した怪獣?の余りの異様さと理不尽さと無慈悲さに押し切られ、感動の十八番を持って行かれてしまった虚脱感漂ふ仕上がり具合に満足至極。
常日頃超常的且つ超級スケールの故事を創造しつつも、結局最後には戀人同士や親子が抱擁してハイ「終はり」てう物足りなさと腰砕け感に飽き飽きしてゐた自分としては、結果的に一歩でも其の呪縛から解放されつつある作風に満足感を得る皮肉。まあそんな臍曲がりな観客が居てもよいではないか。
具体的には、冒頭に芹沢博士が出現するところから第一作へのオマージュをびりびり感じさせて心地良く、謎の怪獣M.U.T.O.*1の容姿からは直ちに『クローバーフィールド/HAKAISHA』が聯想されると同時に、ギャオスの面影を感じた。
ところが高度9000mからの禁欲的で感傷的な兵士降下シーンのBGMはなんと、『2001年宇宙の旅』にも使はれた、リゲティのレクイエムからの「キリエ」ではないか! これらの他にも、決してマニアにしかわからない仕掛け(オマージュと言ふよりもリスペクトと形容した方が正しいだらう)がいたるところに鏤められており、日本語吹き替へでなければ3D版も観てやらうかと思ふほどの出来であった。
これらの他に、9・11の悪夢を再現したやうな摩天楼崩壊のシーンが何度も現れるし、3・11を経験した日本人にとっては悪夢でしか無い超リアルな津波シーン(舞台はハワイだが)や原子力發電所の崩壊、『エイリアン』マザーを聯想させるM.U.T.O.の産卵シーンなどなどは、英國人監督であるギャレス・エドワーズ(1975生)の客観性(メリケン人とは違った立ち位置や物理的且つ心理的距離感)や価値観、個人的な思ひ入れに加へ、オタク的情熱の為せる技と考へるべきであらう。
恐らく再度劇場で観るであらう。
 
GODZILLA ゴジラ - Wikipedia

*1:Massive Unidentified Terrestrial Organism=未確認巨大陸生生命体