水溶性の情感と空間


今朝の小佛
 

今朝の珈琲
 

豆世界
 

今朝の野菜
 

今日ははっきりしない天氣で、ばうばうとここ數日來南洋方面から無限に押し寄せて来てゐた暖氣團こそ停まったものの、一轉して無風ともなると梅雨本来の息苦しいやうな黴臭ひ大氣に満たされる。
午後からは時折の小雨が降り始め、忽ち止んで又降るの繰り返し。レーダーで見ると三重縣側はたいへんな豪雨に見舞はれており、概ね列島に沿って西北から南下し續ける雨雲の帯が、きっと今夜は十分な降雨を伴って通過して行くのだらう。
さて、昨日は鳴海有松青山方面から美味しい珈琲豆を頂戴したこともあり、久しぶりに手回しミルで豆でも挽くかと取り出してみたら、肝心要の歯車部分が少し黴たりしておった。直ちに分解して塩素消毒処理へと回して仕舞った為、珈琲豆の方は電動ミルでがじがじひゅるると挽いてドリッパーへ。忽ち香ばしい世界が出現するのだから、それに相應しい音樂も準備せねばなるまい。(是は屁理屈)
こんなこともあらうかと思ひ、實は昨日密かにTOWER RECORDで2枚のCDを入手しておいたのだ。
1,ベンジャミン・ブリテンの声樂系オムニバス:Serenade Op.31, Nocturne Op.60, Les Illuminations, Noye's Fludde
ブリテンの声楽を伴う曲は『戰争レクイエム』や歌劇『ピーター・グライムズ』だけではない。昔倫敦に潜伏中、テムズ南岸でブリテンの曲自體は何度か聴いてゐたのだが、その中に1曲だけセレナーデが有った。當時はそれが単独の曲であったのか組曲中の出来事であったのか、はたまた小品なのか大曲の一部なのかも全く無知であったが、爽やかな若手テノール歌手の生き生きとした表情だけは妙に良く覚へてゐた。それがやうやう、昨日に至りそれらしき曲を収録したCDと遭遇し、えいやっと持ち帰って来たてうのが事の顛末。果たして、昔聴いたあのセレナーデにほぼ間違ひ無いことが判明した。
Serenade Op31はテノールとホルンと弦樂合奏てう不思議な編成で、ホルンとテノールが絶妙な對話を為す。いきなり3回連續してかけた。實に面白い曲。
一方 Noye's Fluddeこと「ノアの洪水」は小規模なオペラで、耶蘇の聖歌の如きコラールに至る變化が面白いが、時折子供らの合唱も混ざり聴き飽きることはない。ブリテンは奥深ひ。と言ふか、英國の近現代作曲家は誰も興味深く、もっと激しく探求しておく必要があると痛感した次第。
2,yokotsuka yuuya "To you after two years":決して全てが清冽な透明さではないが、どこまでも小雨降る草深ひ庭にそのまま染み込んで行くやうなアンビエント世界。恐らくここ数年で聴いたアンビエント系音樂のなかでいちばん肌に馴染む音世界だった。
多少草食系、または植物系なセルロースに偏りすぎた嫌ひもあるが、どの曲も1/fのゆらぎを感じさせるし、何よりも電子音やノイズのみの堆積で空間が充填されていく息苦しさを、時折何の音とも知れぬインパクトが筋肉の緊張を解きほぐしていくやうに配置され、黴臭い部屋の中を心地良い空間に染めて行くやうな感じ。
天候と空間環境と音場が統合され、本日の構成要素としては貴重且つ重要な一因子と認定された。いちばん水に馴染む。作者は可成り耽美的な人物と見たが如何?
兎に角此の2枚の組合はせ、本日の住環境を總合すると奇跡的な組み合はせであった。

Serenade Pour Tenor, Cor Et Cordes, Nocturne, Illu

Serenade Pour Tenor, Cor Et Cordes, Nocturne, Illu

  • アーティスト: Donald Maxwell,Benjamin Britten,Richard Hickox,Linda Ormiston,City of London Sinfonia,Endymion Ensemble,Salisbury School Orchestra,Chester School Orchestra,Alan Harwood,Richard Pasco,Ian Watson,John Alley,Alexander Gallifant,Catriona Johnson,Joanna Brown,Nicholas Berry,Polly Hewetson,Timothy Lamb,Martyn Hill,Coull Quartet
  • 出版社/メーカー: Virgin France
  • 発売日: 2006/03/13
  • メディア: CD
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To you after two years

To you after two years

 
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正しい忠告である