腐り礫に關する備忘録


 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
風化の度合ひによって使用した時の効果が違ってくる。
即ち、版築時の突き固め*1によって風化の進んだものは比較的容易に砕けて粗粒砂状態になり、礫としての形状を残したものの隙間に入り込み地層の強度を増す。
土壌と礫の両方の性質を持った素材は此の腐り礫以外には無く、同時に山上の堆積層として存在する場合は透水性と含水性を併せ持つ。
白山平の場合、墳丘北側の平坦地には腐り礫層が、南側には褶曲激しいチャートの岩盤が存在するが、いずれも墳丘の構築材料である。
但し、素材としての腐り礫は基本的に墓壙を封印する埋土部分に限り中心的に使用されるものである。
これらのことなどから、東之宮古墳の築造者は構築材料としての土壌や礫の性質を知り尽くした上で、例へばチャートの礫などは大きさも規格分類し、各部分に使用してゐる。
 

石ころ博士入門 (全農教・観察と発見シリーズ)

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*1:搗き崩すと表現した方が正確かもしれない