逐電王の休日


 
 

 
 

 
 

 
 

 
 
 

狂王ルートヴィッヒ2世の例を引くまでも無く、ワーグナーの音樂には麻薬性が有る。
我輩の場合、ブラームスの音樂とも相俟って、其の音場に身を浸してゐると巴里での日々が否応なく思ひ出されてくる。
既にそれらは我が血肉骨の存在する人體内部の隅々に膠着した余剰脂質のやうなもので、おいそれと容易に除去出来るものではない。
嗚呼、枯葉のプラシボと其の醸し出すところのノスタルジアよ。
過ぎし日の時空に乾杯!