春嵐蟄居


玄関内にもスペアミントが・・・
 

草木深く半ば遺跡化しつつある我がパナリガーデン
 

 
 

岬は台風の如き様相
 

 
 
 

 
昨夜は本氣で電影三昧、本当に久しぶり。
ジョン・カーター」→「バトルシップ」→「タイタンの逆襲」てう、SF&ファンタジー怒濤の三本立てで、一氣に現世からの逃避を図った次第。
それにしてもディズニーとしては空前の失敗作と言はれてゐる「ジョン・カーター」だが、SFとしてはまあまあの出来。しかし、火星のエイリアン?や古代文明の廃墟を連想させる都市のデザインは、だうしても「スター・ウォーズ」や他の作品と酷似したものになってしまってゐて、観客の激しい既視感からは逃れることは出来ない。
もちろん原作は古典的なSFとして有名な「火星のプリンセス」だから、ヴィジョンイメージとしてさまざまなSF映画の原点であることは否定できないが、後発の映像作品としては確実に不利。部族集団の様子や設定の一部は殆ど「アバター」と被るし、砂漠の様子は「デューン」だったり「トータル・リコール*1だったり。
主人公は本作品で地球のジョン・カーターから火星のジョン・カーターになったわけだが、このスケールでの続編製作はほぼ絶望的であらうから、SF好きな人は大劇場で観ておいたほうがよいだらう。
なお、本作品はウォルト・ディズニー生誕110周年記念作品であり、エンドタイトルで静かに明かされるのだが、この作品はスティーブ・ジョブズに捧げられてゐる。
次に「バトルシップ」だが、こちらはユニバーサル映画100周年記念超大作てう触れ込みである。さう言へば火星のジョン・カーターを演じてゐたテイラー・キッチュが、こちらの作品でも主人公なのですね。とまれ、パニック、モンスター、SF、アクションなどの得意芸が全て盛り込まれた130分で、敵対する超弩級の宇宙船もトランスフォーマーなみにこれでもかと言ふほど執拗に変形したり跳躍したり、細部までメカニカルな部分を見せつけてくれるので、メカオタクや戦艦オタクにも支持されるだらうな。
ちなみに今回のエイリアンは邪悪なヒューマノイドタイプで、重装備の攻殻機動隊の如く最後まで徹底的に敵対するわけだが、主に日米軍人の友情と協力に因って撃退されて仕舞ふ。真珠湾に記念艦として保存されてゐるミズーリ号の出撃は降伏文書調印式が執行されたてう歴史の伏線を考へると、此の設定の背景に米国側の思惑の有るや無しや。退役した老兵が操船を志願して誇り高く大仰に登場するシーンは「ハルマゲドン」と同じ方程式で、米国お得意且つお馴染みのパターン。メリケンの劇場ではこのあたりで観客総立ちになって雄叫びを上げてはしゃぐに相違無い。
此の含みの有る日米共同戦線状況を前提に、津波センサーブイの活用や例のトモダチ作戦にまで考へを及ばせると、東日本大震災の影響も有るのかしら。それと、高速回転する邪悪なメタリック球体で徹底的に破壊される香港摩天楼の代表が、これまた邪悪な鉞状の形状をした中国銀行であることも、もっと深読みすべきなのかしらむ。
一方海上自衛隊自衛艦妙高の艦長ナガタ役の浅野君は、やはりどこか聖林側の期待するステレオタイプの日本人像、即ち真面目で律儀で頭が固く職務に忠実云々といった気質を引き摺りつつも、劇中で艦長の座席を譲られるあたりで最低限のリスペクトは担保されてゐるのだが、最後のセレモニーでは別に褒められもしないのね。それと、北アイルランド人のリーアム・ニーソンが米国海軍提督役をしてゐることは、メリケン国としては許容範囲なのですね?
そして5分のインターバルを経て「タイタンの逆襲」へと突入するワケだが、ここでのリーアム・ニーソンは其の重厚な風貌を生かして大神ゼウスになっておられた。
本作は所謂神話ものであるからSFではないが、「バトルシップ」の敵艦と違って細部を見せないやうに高速移動する各種怪獣が次々に出てきて、目まぐるしく気忙しく、多少鬱陶しい。しかし、最大の敵であるクロノスが幽閉されてゐる冥界の牢獄タルタロスに至る経路はまさにRPG式で、「インディー・ジョーンズ」もどきの遺跡的な石の迷路も用意されてゐる。それと、クロノスだけは徐々に其の全貌が出現する演出で、溶岩流的なCG表現や巨大さや壮大さの表現が見事な出来だった。
冒険を共にするのはペルセウス同様半神のアゲノールやアンドロメダなのだが、せっかくの美貌のアンドロメダも今回は存在感が薄められて仕舞ってゐたのが残念だった。
とまれ、三代に亘る父子相伝の血脈はかろうじて保たれたのだが、今後は神々の黄昏以後の物語になって仕舞ふと文字通り”お話にならない”かもしれない。
3本の上映時間合計は362分=6時間12分!?(-。-;)
 

*1:リメイクされたらしい