いまさら石と木の本質についてあらためて


 
森の気配の希薄な境内
残念ながら子らの気配はおろか 
神々の気配まで希薄だ
 

 
 

 
嘗て人々は知ってゐた
石の永遠性と木の生命の循環を
多く神社の境界に用ひられる石の瑞垣や土台の栗石
其の上に乗る社殿は勿論木で形造られてゐる
木造は人の手に因って蘇生循環し
石の境内は不変の如き様相の対比を見せる
磨かれた石の清浄さは海水のそれに通じ
鎮守の森の瑞々しさは命を根源で蘇らせる
だから
鎮守の森を切ってはならないし
社殿を鉄筋入りの水泥や混凝土で建て直すことなどもってのほか
そんなことは何よりも遺伝子がよく知ってゐるはずなのだが
我々はどこまでもいつまでも罪深く罰当たりな存在だ
 

 
 

 
 

 
 

 
 
 

森のバロック (講談社学術文庫)

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