臙脂式


 
満天星と書いてドウダンツツジと読むが、灯台躑躅とも書く。これらは花咲く様子由来の名称だらう。
今は紅葉の時期だが、何も紅葉はもみぢばかりではないし、猫も杓子も香嵐渓に行く必要は無い。
満天星の紅葉は見上げる必要はない。低木なので足元を見るやうな、ごく自然な姿勢で接することが出来る。何の木か知らぬ人も多からう。それはそれは艶やかで渋く豊かな紅色や臙脂色の饗宴だ。
臙脂とは實に面妖な漢字表記であり、調べてみると案の定、大陸由来だ。
甘粛省中北部に燕支山てう名の山有り、彼の地には紅花の多く咲きたるに因むの説が有力とのこと。
赤みをややおさえ、黒みを増した濃い赤色とでも言へばわかるだらうか。臙脂色を造り出す天然由来の材料にもいろいろあって、由来通りの紅花に始まり、現在では貝殻虫科臙脂虫の雄の体液であるコチニールが主流だらう。
其の陰翳に満ちた色調や濁り具合などは紅殻(紅柄ともベンガラとも書くが、語源は阿蘭陀語の bengala とも、印度のベンガル地方の特産物であったことに因むとも)にも似たるが、日本の風土や土色には良く馴染む色である。
 

2ヶ月ほど前に金具に夾まれて内出血した痕跡。当初は爪の付け根に赤黒く半円形に広がってゐたのだが、約2ヶ月かけて広がり乍ら徐々に中央に移動。先日内出血の下端部分がめくれ上がりはじめ、ささくれ立ってきた。察するに、現在の爪の表面が表皮化して剥離し、内出血部分下に形成された組織が新たな表面に成長してくるのだらう。ちなみに約1ヶ月前はそれはそれは美しい臙脂色で御座ゐました。
 

先週よりヤフーメールでエラーが頻発。「18」の祟りでせうか。