鷺の居る


 
 

 
此の綺麗な水の国に住み
美しく透明で珠磨くやうな湯にわざわざ入浴剤で色を付け
時には果物の香りだの
そして時には濁らせてみたり
そんな湯船に草臥れた體躯を沈没させて
疲れを癒す者こそ
他ならぬ偉人其の人である
 
しかしそれにしてもだ
チャイコフスキー交響曲第6番の演奏会で
第三楽章の終了と同時に「ブラボー」と叫んで立ち上がって大恥をかく夢を見たやうな気がするのだが
矢張り気のせいかもしれないなどと昨夜の浅き眠りを回想する雨の夕べ
限られた食材で見た目ばかりは最高に美味しさうな冷菜を作ってむしゃむしゃ喰ふもまた
をかし