慈雨岬


 
夕刻、岬に刹那の陽光有りて、神島南岸の白き石灰岩の岩肌を一瞬光り輝かせるも、其ノ後海上に霧湧き湾口を覆ひ尽くし、みたびふたたびの驟雨。
長く高温に晒され続けた大地に遍く降り注ぐ雨の降り様を超然と、岬の絶壁の岩場より眺めて立ち尽くせば、いつしか我が襟足からも慈雨の滴り落ち、項にも、目尻にも、指先にも。
そして大地にも・・・