大バッハ三昧大往生

和三盆の優しい風味

先日の続き。
新規導入した音源の2枚目は、フランスのピアニスト、エレーヌ・グリモーの、其の名も 「 Bach 」 てう名のアルバム。
女優顔負けの可憐な風貌を持った彼女だが、共感覚の持ち主としても知られてゐる。分かり易く言へば、音が色で見えたりものの形に味を感じたりする能力のことだ。
かういふ能力の観点から音楽演奏家の表現能力について考へてみるのも面白いのだが今回はさておき、此のアルバムに収められた16曲のうち13曲が純粋にバッハの作品。そして残りの3曲が、件の piano transcription なのだ。
それらの組み合はせが興味深く、ひとつは噂のブゾーニが編曲したシャコンヌ(ヴァイオリンのためのパルティータ第2番より、BWV1004)であり、次にリストが編曲した「プレリュードとフーガ イ短調」(オルガン曲、BWV543)、そして最後が、ラフマニノフ編曲による「プレリュード」(ヴァイオリンのためのパルティータ第3番、BWV1006)てう内容だ。
勿論、リストもラフマニノフも名うての編曲家でもあるので素晴らしいトランスクリプションが楽しめるのだが、偉人の目的はブゾーニ編曲のシャコンヌなのだ。
 

Helene Grimaud Plays Bach

Helene Grimaud Plays Bach

 
エレーヌ・グリモー - Wikipedia
 
此の大変な難曲であるブゾーニ版については以前に何度か言及してゐるが(2004年7月19日、同年11月13日、2005年5月1日、2007年10月13日、2009年11月29日)、ミストーンは多いもののやはりニコライエワの演奏が圧倒的だ。2007年に巴里で聴いたファジル・サイの演奏は意外にも平凡な出来だったが、迫力+音圧という意味では先の Holger Groschpp がなかなかいい線を行ってゐる。
とまれ、エレーヌ嬢の演奏は多少ペダルの多用やファルティッシモで決めて欲しい部分の押しが弱い嫌いがあるものの、大健闘の演奏で、統一感は抜群。とても風貌から推測される音ではないが、メインの?ピアノ協奏曲と共に、大変完成度と意外性と満足感の高いアルバムになってゐる。
 
 

 
今天は終日ほぼ曇天。
もっと暖かくなるかなと思ってゐたのだが、最高気温は14度ほどだったかしらむ。日差し無く、布団干し計画は延期。
夕方の自転車道では、東南風かなり強く、帰路難儀哉。