コビトの功罪

偉人御幼少の頃、分かり易く言へば我輩がまんだ人間ではなく、コビトだった時のことだが、「きなこ」なるものがいったい何から出来てゐるのかてうことは知らなかったし、「アゲ」てうものはいったい何を揚げたものか知らんかった。
そもそも、枝豆と大豆が同じものであるとは知らんかったしね。
よく食べてゐた「こうせん」は袋に「麦こがし」と書いてあったので、其の原料が麦であることはわかってゐたやうだが、麦茶の場合は「茶」の一文字が入ってゐるにもかかわはらず袋を覗いても茶葉が見当たらないことが腑に落ちず、家人にしつこく尋ねたものだ。
同じく、よくお吸ひ物に入ってゐた「麩」の正体も知らんかったし、ホットケーキにかけるメイプルシロップがハチミツだと思ってゐたので、友だちの家でご馳走になるホットケーキにかかってゐたハチミツが何かわからんかった。見かけはそっくりだが、味が全く違ったからね。
コビトの頃のかういふ哀しさは、すっかり大人になった今でもしっかりと引き摺ってゐるもので、時折自らドリップした珈琲をしげしげと見つめ乍ら、いったいこれは珈琲豆の何を飲んでゐるのだらうかしらとか、型に流し込んで作るプリンのカラメルは何故混ざって仕舞はないのだらうとか、いらんことをいろいろ考へて仕舞ふ悲しい性を背負ったまま。
そんなこんなの日常に潜む素朴な疑問はさておき、今天の問題はコビトだ。
我輩がコビトが苦手であることを知ってか知らいでか、このところテレビを見てゐると矢鱈滅鱈「コビト店長」ばかり出てくる。
コビトの割りに妙に礼儀正しい態度も、あの蓄膿症風の声も気に入らない。コビトとは、本来あんなものではないはずであり、極めて不自然だ。
某自動車メーカーのCMでは、コビト店長の座を脅かす存在として、ゴルフの石川某君が出演してゐたが、*1イロイロなことを良く知らんわけだが、確か彼はまんだ高校生だらう?
確かに、笑顔もカワイイし礼儀正しさうだし成績もトップクラスなのかな。だけど、インタビューの応答はいつも不自然なまでに冷静で、どのコメントも前日に文部科学省の役人が推敲したかの如く模範的な回答ばかり。ちっとも高校生らしさがみられず、寧ろ可哀想に思ふ。
彼だって元コビトだったはずだ。
何の話かワカラナクなってきたので、今夜はこのへんで許してやらう。たまには支離滅裂の尻切れ蜻蛉でも良いではないか。
 
やるまいぞやるまいぞ・・・
 
  
 

 

*1:そもそもゴルフには何のエスプリも魅力も感じないし、獲得賞金額でランキングされ報道されるのもイヤな感じだ。