お台場の呪ひ

このところ、赤いコビトに苛まれてゐる。
今に始まったことではないが、着ぐるみ同様、偉人の弱点はコビトとの遭遇なのだが、先日お台場で目撃して仕舞った赤いコビトは強烈だった。
flying kobito いや、jumping kobito だな。強力なゴムバンドの力で尋常ならざる高さまで何度も何度も飛び上がり宙を舞ふ赤いコビトの映像が脳裏に焼き込まれ、なかなか消える気配が無い。
いったいなんてう恐ろしい状況を見て仕舞ったのか、後悔しきりにするものの時既に遅し。
此の jumping red kobito の残像がフラッシュバックするのは主に夢の中だが、工作活動中のふとした瞬間にも入り込んでくる。
本編の脳内上映は実際の秒数にすれば0.03秒ほどのことではないかと思はれるのだが、其の残像は執拗に膠着し、酷い時には1時間近くシナプス回路を迷走し、偉人を虚脱状態にせしむのだ。
今朝も、いつも通り5時半頃一端目覚めたのだが、休日であることを確認した上で二度寝の微睡みに入定し、文字通り夢の如き幸せな時間を過ごすはずであった。ところが、恐らく眠りに墜ちて十分も経過してゐないと思はれる頃、突如あの赤いコビトの動画が脳内で上映され始めたのだった。
しかも今回は、「ケケケケケケッ」とも「キャキャキャッキャー」とも知れぬ、獣か悪魔のやうな歓声を上げてジャンプし続けてゐる。更に、其のコビトのジャンプを制禦してゐる係員の顔もまるで魚の化け物のやうであり、周囲の観客は全員昆虫のやうな甲殻を持ってゐるのだった。
これは悪夢以外のなにものでもないのであって、わかりやすく例へるなら、ヒエロニムス・ボスの『快楽の園』の中に放り込まれたやうな状況で、冷や汗びっしょりで不快な目覚めを余儀なくされたのであった。
不快此の上無き目覚めだ。二度寝の快楽を貪らうとしたバチが当たったのか、はたまた宿命か・・・
 

 
幸ひ、此の世に未だ未だ未練が横溢してゐたらしく、錯乱直前に目覚めたので現在このやうに多少冷静に状況説明などしてゐるのだが、もしあのまま赤いコビトの導くままに彼岸の渚に足を踏み込まうなら、百千万億那由他阿僧祇劫、百千万億那由他阿僧祇劫の時間、此の世に帰還することは出来なかったことだらう。
誠に恐ろしきこと此の上ないことだ。
  
 
これが、見るも楽しく語るも恐ろしい The Jumping Red KOBITO の姿だ!

此の画像では赤いコビトがただ空中に浮いてゐるだけのやうにも見えるが、激しく上下にジャンプし、最高地点はパビリオン2Fの高さをも上回るほどの高さに達する恐ろしさなのだ!
 
初めてのお台場行きは5年前。其の時は某テレビ局脇の空き地で十数体の着ぐるみに取り囲まれるていう恐怖体験をした。そんなこともあって、今回は慎重にテレビ局周辺を避けてフィールドワークを行ってゐたのだが、踏査の果てにパレットタウンに辿り着いたのが運の尽きだったのだらう。
ちなみに、ゆりかもめ青海駅で買った切符は青く、駅の先から眺めた有明埠頭フェリーターミナルには、今回熊野灘で遭難したフェリーが停泊してゐたのだった。
 

 

理由はわからんが、妙に此のフェリーが気になって、じーっと眺め続けてゐたことも確かなことだ。写真も何枚も撮った。
斯くなる上は、七里御浜まで、横転したフェリーを見届けに行くべきかもしれぬが・・・
 
それにしても改めてゆりかもめの切符画像を見ると、既に例の「18」が始まる兆しが現れてゐるのであった。
 
参考:報道からの引用画像