イントキ的

intoxicate (イントキシケイト、略してイントキ)と聞いて直ちにTOWER RECORDタワーレコード、略してタワレコ)を連想できる人は、少なくとも我輩と音楽分野での話が合ふ可能性が「少し」高い。
店頭で、しかもどちらかと言ふとクラシックやジャズフロアで無料配布されてゐる此の情報誌の内容は濃厚で、毎号毎号いったい何枚のCDの紹介記事が掲載されてゐるのかしらむと怪しむほどである。
取り扱ふ音楽ジャンルに厳格な取り決めは無いやうではあるが、一般に言ふクラシックからジャズ、フュージョンアンビエントやヒーリングまで、様々多彩な内容の音楽が取り扱はれてゐる。*1
先日の大阪行きの際に難波店で入手した最新号は、誌面のデザインが以前より多少モダンな設計になった以外は、どの記事も細かな活字がいっぱい並んでゐて、隅々まで目を通すには1週間近くかかる。
#82の表紙を見ると、映画『パンドラの匣』の1シーン、川上未映子が汽車の窓辺で退廃的な横顔を見せる右下に 「#82 TAKE FREE」 とある。
ちなみに今号のEXOTIC GRAMMAR は vol.18 で、冒頭が坂本龍一のインタビュー。早稲田大学教授で音楽・文芸批評家の小沼純一氏との対談なのだが、これが教授にしては珍しく極めて真面目なやりとりが為されてゐる。
とりわけドビュッシーとの音楽的関係や今年のピアノツアーの心情吐露など、なーんだ、教授も真面目にお話し出来るんぢゃーないかと微妙に苦笑。
兎に角、今号に限らず、いつどのやうな状況でどのページを開いてもそれなりに情報の得られる貴重な情報誌であることは確かなこと。
毎号入手できてゐるわけではないが、今号は先日の電光石火難波往来の際に入手したのであるが、帰宅直後に珈琲を零してぶよぶよに。更に翌日、ろくに乾いてゐない状態のものを湯船に持ち込み、用心し乍ら拾い読みしてゐたのだが・・・
蜜柑湯の気持ち良さについうつらうつらと眠りに落ちたりける偉人と共に水没せり。乾かせば乾かすほどぶかぶかしわしわの妙な物体に変化して仕舞ひ、半分以上の頁はひっついて分離不可能に。いやはや困ったなー(´∀`)などと思ってゐた矢先、東京の友人よりメール来たる。
曰く、 「イントキシケイトの#82は持ってる?」 とぞ。
う〜ん、さすが偉人のこと、わかってらっしゃるのね。
なるほど、かういう流れが仕組まれてゐたのかと妙に納得したりける夕月夜哉。
勿論我輩の返信は言ふまでもなく、「是非1冊送っておくんなませよ」で御座ゐましたとさ。

*1:タワレコが店頭で配布してゐるフリーマガジンは此の他にも有って、ロック&ポップミュージック関係は bounce が担当してゐる。また、見たことは無いが TOWER と TOWER THEATER てうフリーマガジンも存在するらしい。