妖艶なる男

招待所の鍵はいまやカード式

井上陽水のシルキーなベルベットボイス・・・
昨夜まで連続4日間、LIFE と題する贅沢な番組を見てゐてつくづく、此の人の希有な才能や奇妙な言動、余りにも魁偉な存在感を再認識した。
どの曲も美しく切なく透明で、どの曲もそれぞれが別々の世界観を持ってゐる。個々の曲によって喚起される情景は見事に完結してゐて、ひとつとして同じものはない。それでゐて陽水から生み出されたものであることは確かなことなのだ。
基本的には奇人変人の類なのだらうし、事実どの語りもよほどしっかり聞いてゐてもいったい何の話をしてゐるのかさっぱり要領を得ないことばかりだ。
詩人としての才能も素晴らしいが、日本語の正統的な文法とは別世界だ。
例へば番組でも誰かが言ってゐたが、名曲『少年時代』の冒頭、「夏が過ぎ、風あざみ」の風あざみって何? 『リバーサイドホテル』の冒頭、「誰も知らない夜明けが明けたとき」? 『積み荷のない船』の冒頭、「積み荷もなく行くあの船は 海に沈む途中」?
こんなことはだうでもよいのだ。
陽水のデビューは大阪万博の前年。我輩は既に中学の頃から何かにつけて耳にし、一部の友人はギターを掻き鳴らしながら唄ってさへゐたが、当時の印象は『毒』だ。
  

  
LIFE 井上陽水 40年を語る
 
1969年、シンガーソングライター・井上陽水さんが、“アンドレ・カンドレ”としてデビューして、今年で40周年を迎えます。
井上陽水さんは、70年代・80年代・90年代・そして2000年代と、いつの時代にもビッグ・ヒットを生み出し、常に時代を牽引するアーティストとして活躍して来ました。これまで、曲への思いや音楽に対する向き合い方について多くを語らず、創作や実像についてはベールに包まれてきた陽水さんに、番組ではロング・インタビューを敢行。その実像に迫るとともに、これまで陽水さんとかかわってきたアーティストや文化人たちにとって「井上陽水」とは一体どんな存在だったのか、同時代を生きてきた著名人たちにとって『井上陽水』と生きた時代とはどんな時代だったのか、様々な角度から解剖し、これまでのライブやアーカイブスなど貴重な映像を交えながら、不世出のアーティスト・井上陽水が紡ぎだしてきた「歌の世界」の深淵に迫ってゆきます。
  
【出演】
 井上陽水
【ナレーション】
 宮沢りえ

【インタビュー出演(予定)】
伊集院静五木寛之上野千鶴子奥田民生小田和正、金子昌平、川瀬泰雄、操上和美、黒鉄ヒロシ小林聡美コブクロ
小室等沢木耕太郎スガシカオ多賀英典中島みゆき、中村冬夫、野見山實、一青窈平原綾香藤子不二雄A星勝
みうらじゅん、水谷豊、持田香織、安田裕美、安室克也、山下洋輔リリー・フランキーロバート・キャンベル 
ほか(五十音順)

出演
 

【曲目(予定)】
♪人生が二度あれば/♪傘がない/♪白いカーネーション/♪夏まつり/♪紙飛行機/♪たいくつ/♪夢の中へ/
♪いつのまにか少女は/♪氷の世界/♪心もよう/♪帰れない二人/♪Happy Birthday/♪ゼンマイじかけのカブト虫/♪青空、ひとりきり/
♪なぜか上海/♪ジェラシー/♪MyHouse/♪リバーサイドホテル/♪とまどうペリカン/♪カナリア
♪ワカンナイ/♪いっそセレナーデ/♪飾りじゃないのよ涙は/♪夏の終りのハーモニー/♪新しいラプソディー/
♪最後のニュース/♪少年時代/♪Just Fit/♪ありがとう/♪積荷のない船/♪コーヒー・ルンバ/♪花の首飾り

・・・ほか
  

  
 
 都会では自殺する若者が増えてゐる
 今朝来た新聞の片隅に書いてゐた
 だけども問題は今日の雨 
 傘がない
   
 
此のあくまでもどこまでもセルフィッシュで退廃的なエゴに満ちた雰囲気は、サイケデリック前夜の時代が生み出した空気を反映したものなのかもしれないが、暗く得体の知れないものが鬱積したイメージだ。
しかし笑って仕舞ったのは、同郷出身であるリリー・フランキーが指摘してゐたことだが、初対面の若いミュージシャンにやたら「だう、家に来る?」だの、すぐ誘ひをかける癖があるてうこと。これじゃまるでゲイのナンパだよねー、で大ウケ。
それにしても今や還暦を過ぎた陽水の声は、ますます妖艶さを増してゐる。
我輩が然るべき立場に在れば、かういふ人物こそ所謂人間国宝に指定しておくのだけどな。
兎に角、今夜は GOLDEN BEST を大音量で全曲復習。
CD2枚に35曲。約20曲を歌うことができました。
カラオケの予習?
 
 

GOLDEN BEST

GOLDEN BEST


  
  
才能は毒だ。
  
  


此処にはいったい何が沈殿してゐるのだらうか
 

今天は午後から工作員招待所を抜け出して一路パナリ荘へ帰還
 

さう、けふからはみんな、ともだちだよ!