循環と撹乱

裏のおばばさまからの差し入れ

早朝、蝉の鳴き声で目覚む。
勿論今年初めてのこと。未だ、鳴き声の中心は裏の屋敷林の方だし、中庭の柿の木には数匹しか居らず、共鳴した超音波が硝子を割るほどでもない。
しかし既に、検索語「蝉の駆除」で我輩のブログを訪問する者が日に日に増加しており、矢張り世間には潜在的にかなり多くの蝉駆除希望者が存在することがわかった。
ちなみに第2位は「精霊棚」で、こちらも旧盆近付くにつれて増加傾向にある様子。歳時記ならぬ、電子風物詩とでも言ふ新奇的な情緒が此処には生まれつつあり、いとをかし。
  
さて、今天は炎天下の数十分が出現したと思ったら忽ち曇り、それでも夕方までは纏まった雨が降るわけでもなく、ただただ湿気の塊のやうなつむじ風が巻き上がったりと、極めて不安定な天候。
所謂梅雨末期の大気の撹乱とゆらぎが五感を震はせて列島各地に押し寄せてゐるだけのことなのだらうが、本能を触発する力を秘めた蠕動だ。
そんな昼過ぎ、ふと外を見ると中庭を無数の燕が旋回してゐて、その光景は恰も旋風に巻き込まれた群れが抜け出せず、ぐるぐるぐるぐると回転してゐるのだらうと思った。
外に出てみると実は、燕らよりも先に無数のトンボが浮遊しており、それらを捕獲せむとこれまた無数の燕が乱舞してゐることが判明。
よく見ると燕はいずれも若く、捕食練習を兼ねての飛翔だったのであらう。とまれ都合10分以上、露出した足を蚊虫に喰はれ乍らも、夏の偉人はトンボと燕の乱舞を眺めておりましたとさ。
   
   

燕は目視でざっと20羽くらい飛んでゐたが、余りの高速飛翔で写真には殆ど写らず。
トンボは無数にゐたのだが、こちらも燕に追はれて高速ランダム飛翔で殆ど写らず。
   


   
夕方、裏のおばばさまがやってきて、採りたてのピーマンとシシトウを頂戴する。
いと有難き哉。