連鎖するものども

赤い睡蓮も開花!

偉人転倒せり!
事の顛末は複雑系の連鎖の賜物であるものと思はれる。
サンマを喰ったのが昼前のこと。一応朝餉と称し、今天は珍しく皮蛋と搾菜入りの粥などを作り、それだけではなんだらうと冷凍庫に眠ってゐたサンマを解凍し、焼いてオカズにしてみたのだ。
以前は骨煎餅などにしてほぼ跡形もなく喰ってゐたのだが、今回は流し台の△網籠に投入して他の野菜屑などとともに水分を切り、庭のコンポストに捨てやうと思って土間の片隅に放置しておいた。
そのまま忘れ去られた生ゴミ類だが、日も暮れて鼠共の格好な餌食になり、サンマの骨は△網籠から運び出され、頭部は竈の陰に、背骨はいくつかに分解されて玄関と台所の通路(土間)まで運ばれつつあったワケだ。
彼らは貪欲だが気紛れで、あっちを囓ったと思へばこっちに出没し、主の不在を狙ってわざわざ布袋に入れた新しい布団からダメにして仕舞ふ。へっぽこ鼠は小さすぎて普通の捕獲機にも引っかからないので、粘着シートの使用を余儀なくされる。兎に角厄介千万の共存者だが、我が陋屋生活にしてみれば白蟻や鼬や百足などと並び強敵であることには違ひ無い。
され、そんなこんなでさまざまな敵が偉人の命を狙ふ深夜に至り、飲みものを求めて台所に向かった際、電灯の陰の揺らめきが通路に放擲されたサンマの骨を恐ろしい百足の姿に幻視せしめ、踏み出した草履を蹴り放ちたりける結果、手にしたお盆と器は見事なまでの放物線を描き玄関の土間に落下して砕け散り、信じられない高速反射運動で*1履くつもりのない運動靴に乗り上げた左足は瞬時に体躯の均衡を崩し、所謂尻餅を突くまいと土間に突き出した右手首は妙な感じでぐにゃりと捻り、それでも危機一髪で下駄箱の上に荘厳された神棚とトーテム・アッセンブリー(ソーラー式ケロロ軍曹を含む)の大崩落は免れることが出来たのであった。
これでピアノ演奏はおろか文書入力も暫くお預け・・・?!
振り返って考へてみれば、我輩がサンマを食したことと鼠が骨を運んだてう事実に、我が脳裏に深く刻まれた潜在的な百足恐怖本能が骨の欠片を見誤らせ、半転倒とお気に入りの陶器の破損を招いたのである。
と言ふことは、サンマを喰はなければ陶器の破損は無かったのだらうから、因果律の余りの完璧さに改めて畏れ入る今日この頃ではあるが、世間ではマスク教団の跋扈が著しくなってきたやうだ。
なかでも滑稽なのは、国会見学の中高生達に全員マスクを配って装着させてゐたり、薬屋に行列が出来たりと呆れるばかり。確かに、国会に於いては議員達の放つ独特の脂ぎった臭気(加齢臭だけとも違ふ)を防ぐことが出来るてう意味では有効かもしれない。しかし、あのやうな簡易なものがウィルスの体内侵入に対しては気休めに過ぎないことなど、マスクの構造や蘊蓄を述べる以前に明らかなことと思ふのだが、人間様てうは愚かなもので、報道や噂に煽られて此のやうな行動に走るものなのだね。
昨天などは、生徒が罹患した高校の校長だとかどこかの保健所長だのがマスクをしたままインタビューに応じてゐたが、愚かしくも実に憐れな光景であった。
ニュース番組の中継なども、客がマスクを求めて押し寄せるドラッグストアの様子を仰々しく生中継してみたり、いったい報道の本懐は何処に行って仕舞ったのか。
本当に、情けないほど阿保らしい。*2
  
 
  
列島中でそんなに流行ってゐるなら、と偉人も怪人風のマスクを装着してみましたが、如何?!
   
此の頃は 転ばぬ先の マスク哉
   
   


  
  

*1:この反射には過去の恐ろしい体験が伏線として存在する。5年ほど前、矢張り夜中に台所に向かった偉人が玄関で無意識のうちに草履に足を乗せた瞬間、草履側面を這う巨大な百足の姿を発見し、下駄箱の方に倒れ込みガラモンの祀られた神棚ごと全ての置物を巻き込んで転倒し、蛸陀羅仏の祟りを受けた暗い過去があったのだ。

*2:昨天、台湾政府から兵庫県大阪府にそれぞれ10万枚のマスクが贈られてきたやうだが、殆ど報道されてゐないやうだ。数少ない紹介記事に曰く、「洪副処長は「新型肺炎(SARS)騒動を通じて各国が協力し合うことの大切さを学んだ。マスクの品薄で困っている日本の皆さんの役に立てば」と話していた。」とのこと。此のやうな親日的な心遣ひを、もっと大事にしたいと思ふ。