ハクモクレンの咲く通り

木枯らしに揺れて木蓮花吹雪

今天、ほぼ終日屋内工作に終始するも、午後遅くになって少し気晴らしにと思ひ自行車で外出。
いつのまにか地上を覆ふ空気はすっかり冬の其れに入れ替はつており、予想外の寒さに慌てて部屋までマフラーと手袋を取りに戻る始末。先づは先日来目を点けてゐた近所のハクモクレンの並木通り*1へ、と、ぶむぶむとサドルから腰浮かせて加速し、其の後速度安定致しました頃に腰を下ろせば、何とサドルのカバーがべりと裂けてスポンジとスプリングが見へてしまう危機に直面。時恰も並木通りに到着せしが、通りの入り口にはこれまた謀ったやうに1軒の自転車屋が鎮座してイッソッソヨ。
余りの演出の見事さに感心しつつも、吹く木枯らしに舞ふハクモクレンの花びらを踏みしめて店内へ。見るだに頑固さうなオヤジ1人、店内でミニサイクルのパンク修理中。おそるおそる問ひかけて曰く、
「こんにちは、すみません、こんなじてんしゃのサドルはおいてみへますか?」とぞ。
鼻先までずれた眼鏡越しにじろりと我輩及び自行車(マウンテンバイク)を一瞥後ひとこと、
「ありますよ。交換かね?」
その後は料金確認し*2、ほんの数分で付け替へて終はり、とするには勿体無ひ。此の機会に前輪ブレーキの効きの悪さだのチェーンとギアの減り具合だの点検して貰った。其の結果、ブレーキパッドの減りはさほどでもないのに効きが悪いのは、ワイヤーの緩みか他の原因てうことで、正面に回り込んだオヤジは股で前輪を挟み込み、反対側からハンドル握って右へ左へ。診断の結果、前後輪とも車軸の歪みがあって、それがチェーンの張りと軋み、ブレーキの効きに影響を与へておった様子。10分ほどで全体の調整は終了し、締めて2200円也。
調整中の閑話一題。見れば年の頃なら二十五六。つひ先日近所のホームセンターかジャスコかどっかで買ひました、てう感じのオシャレな感じだがちょっと安っぽいピカピカの自行車引ゐて店頭へ。
「すみませーん、これ、走るとキーキー音がするんで油差してくださーい」と指差す部分がオヤジの気分を損ねたらしく、
「ベルト式でそんなとこに油差したらあんた、ブレーキが効かんだらう。そいぢゃーあんた、困るだらう」とのお言葉。
「えー、そーなんですかー」とお嬢様、その後も二言三言、オヤジに嗜められてしまったやうで、結局何処も修理される事無く怪訝な顔して去って行った。なかなかやるな、このオヤジ。*3
サドルのタイプが選べなかったのはちょっと残念だが、緩みと遊びの消ゑた自行車繰って小一時間、時折不穏な灰色雲とともに小雪のかけら舞ふ中途半端な街中をあっちにふらり、そして自行車担ひで堤防道路まで登ってみたり、ふらりとユニクロの店内覗いてみたり、ちょこっと超市の店内を歩いてみたり、黄昏頃に部屋に戻る。
夜、ゴミ出しに出てみれば、みたびふたたび小雪の舞ひて、いと寒きこと冬の如し。明天の屋外工作は相当辛くなりさうだ・・・
(−_−)
    

      
植物怪異伝説新考〈上〉 (中公文庫BIBLIO) 植物怪異伝説新考〈下〉 (中公文庫BIBLIO) 深い浸食の国―ヒマラヤの東 地図の空白部を行く 結局これらを Amazon で注文せり。
        
BOURBON の新製品「ちょこづつみ」抹茶ときなこ、なかなか宜しい。とりわけ「きなこ」が大いに宜しい。

*1:隣の通りはクスノキで、そのまたむかうはハナミズキ

*2:サドル本体は2000円であった

*3:「あーゆー安いだけの自行車は新品なのにきーきーいったり直ぐ壊れたり、安いんで路上放置されたりするんで、うちでは安いだけのは売らんことにしとるんだわ」とはオヤジの言ひ