ワルトシュタイン不敵

独特な花の世界へようこそ

朝から雨にて候。
当然、屋外現場工作活動は休止を余儀なくされる。しかし室内工作までも無くなるワケではない。
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Waldsteinと言へば伯爵か公爵かは知らんが、L.v.BeethovenのピアノソナタOp.53のことに決まってゐる。決まってゐるのだが、21番目のピアノソナタであり「熱情」に連なる大傑作であり、交響曲で言へば第3番とほぼ同時期の作品てうことになる。初めて聴いたのが中学生の頃であり、実際に楽譜を入手したのが高校生の頃。かと言って全曲通して弾けるワケでも当然無いのだが、なぜか「月光」よりも「熱情」よりも他のどのピアノソナタよりも印象的な曲だ。なぜか未だに楽譜を持ち歩いてゐるのだが、ハ長調てう甘い誘惑に誑かされて手を出さうものなら、ひどい目に会ふこと請け合ひだ。
中低音部の小刻みな和音から開始される前奏部分に限らず、意表を突く転調の連続に驚かされるばかり。明るく躍進的で闊達、静かな叙情性に満ちた平和な旋律と目まぐるしいパッセージの交錯。オクターブの力強さと頼もしさ、そして超絶的なグリッサンド等々、まさに傑作と呼ぶにふさわしい内容だ。
調べてみると、「ワルトシュタイン」と呼んでゐるのは我が邦だけのことらしく、仏蘭西では「曙」(相撲取りのことではなく、夜明けのあけぼのの意。第2楽章の神秘的な静かな終止に続く、第3楽章の導入部分が如何にも夜明けを連想させて、印象派的な呼称だ)と呼んでゐたりする。ネット上には驚くべきことにこの曲のMIDIも公開されてゐたが、ピアニストの卵の玉子みたいな人物の演奏画像(鍵盤だけが映ってゐることも多い)付きまであって、ミストーンだの指縺れだの音抜けだのテンポ狂ひも何のその、大胆不敵てうか何てうか、兎に角微笑ましきこと。

関係無いおまけ(音量注意報!) http://youtube.com/watch?v=7hYb08E8iGY

ちなみに冒頭の8小節くらいなら我輩でも弾けますが、なにか?
こちらは絶品の演奏、大御所アラウ叔父さん

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番