羽化

あおいみどり

朝、ふと寝覚めるや否や何気に庭を眺めると、きらきら光る細かいものが無数に舞ってゐる。思ひ当たることが有って外に出てみると案の定、シロアリの羽化だった。
他の羽虫と違ひ、羽アリの飛び方はぎこちなく、風に翻弄されてよろよろと飛ぶ。枯れた切り株の、ほんの小さな隙間から無間に出てくるのだが、一体内部でどのやうになってゐるのだらうかしらむ。羽化の日の天気には独特の雰囲気があって、初夏の気配を孕んだ晩春の、どことなくちょっと蒸し暑いやうな、草いきれのかけらが鼻を擽るやうな、そんな日の午前中が多い。
雲母舞う足元には、葵の緑。

フォリア?17世紀後半のイタリア・バロック音楽

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