神をも恐れず

ケータイ用ではありませぬ

それは恐ろしい状況だった。
今日は朝から車で遠出したのであるが、或る脇道から右折して我輩の前に割り込んできた軽自動車、運転手は茶色の髪長いお姉さん? その強引さに眉をひそめつつも20分近く、後ろについて走ることを余儀なくされたワケだが、ヒヤヒヤイライラドキドキハラハラへうへうの連続だった。まづ最初に驚いたことは、信号で停車したとたんに助手席あたりからペットボトルを取りだし、顔を右側に向けて直接飲んでゐる。それがどう見ても2リットルの巨大なボトルだ。よほどノドが乾いてゐたのか、青信号になっても口に付けてゐて、当然発進が遅れるワケだ。そんなことが3回くらい続き、我輩の後続車がしびれをきらしてクラクションを鳴らすと、飲むことを止めた様子。次の症状は速度低下だった。前が詰まってゐる様子もないので不思議に思ったが、ケータイをかけてゐたことが判明。気が散って速度も自ずから落ちるワケだ。走行中に数分間の通話が終了したらしく、これでやっとこさフツーに走行してくれるだらうとほっとしたのも束の間、今度は信号停車中にルームミラーを使ってどこからか櫛を取りだして、激しくヘアメイクが開始され、一心不乱にあれこれしてゐるではないか。勿論発進が遅れるワケで、さすがに人民に寛大な我輩も業を煮やし、クラクションを鳴らしてやった。するとミラーを後方注視方向に戻しつつ、しっかり睨まれてしまったワケだ。此奴は可成りの強者と見たが、強者であれ何者であれ淀みなく流れを妨げずに走行してくれれば、それでよいのだが・・・
クライマックスはヘアメイクの直後にやってきた。さほど大きな交差点ではなかったが、そこは国道方面への近道てうこともあり、ほとんどの車が左折して行くのだが、小生は直進だ。交差点の横断歩道近くになっても前のお姉さま軽のウインカーが出ないこともあって、てっきり直進だらうと信じ切ってゐた我輩が甘かったのだ。横断歩道あたりで突如ウインカービームが発射されるやいなや、ほぼ同時に物凄い勢いで左折を始めたお姉さま軽、気付かなかったけど半ドアだったのだらう、曲がると同時に運転席側のドアが開いてしまい、先ほど飲んでゐたと思はれるペットボトルやケータイ、小さなポシェットや何かの雑誌がばらならと路上に散らばってしまったのだ。さすがにシートベルトはしてゐたやうだが、状況からして路上に散らばったものどもは膝の上(又は股に挟んで?)に乗せて走ってゐたのだ。我輩は急ブレーキを余儀なくされ、後続車も衝突寸前。そんな我々を余所目に、お姉さまは車を路肩に寄せることもなく車外に出て、散らばったものどもを拾い始めたではないか。信号が変わり別方向からも交差点に車が入り始め、事情の見えぬ後ろの方からはクラクションも聞こえはじめる。その一部始終をじっと見てゐた我輩であるが、路上から拾い集めたものどもを抱え、悪びれることなく車に戻るお姉さま。開いたドアの先には・・・
何と、軽自動車の助手席には、小さな子どもが乗ってゐるではないか! 茶髪のお姉さまはお母様であったのだ。さすがに唖然となって、今度は我輩の発進が遅れてしまったワケだが、我が国の路上にはこーゆーお姉さまも車を走らせてゐるワケであるてうことを、今一度改めて自覚せよ。
今日の結論;「神は不在である」 (-_-)